今回の「法改正」のポイントは、
- リッピング違法化(刑事罰はなし)←当初の政府案はここまで。パブリックコメントなどで意見を募ったりしたもの。
- 私的違法ダウンロード刑罰化←「消費増税」との抱き合わせで自民党と公明党が出してきたもの。パブリックコメントなど経ていないもの。
前回は後者について書いてきたので、今回は前者「リッピング」について書いておきます。
たしかに「リッピング」って言われるとCDもか!と思えますが、INTERNET Watchの「DVDリッピング違法化+私的違法ダウンロード刑罰化法案、衆議院で可決」という記事のように「DVDのリッピング」が対象。
同記事より引用
DVDなどに用いられる「CSS」などの暗号型技術を、著作権法上の対象となる「技術的保護手段」に追加するもの。その結果、これを回避してDVDなどを複製するプログラム・装置を提供することが規制され、違反者には刑事罰が科せられるほか、技術的保護手段を回避して行う複製は、私的使用目的の複製の範囲外となり、認められなくなる(刑事罰はなし)。いわゆる“リッピング違法化”。コピーガードなどの技術的保護手段が用いられていないCDなどの私的複製については、違法化の対象とはなっていない。合法と違法に分かれるとしっかり伝わっていないような感じですが、この内容でわかっていただけるかと。
著作権法第30条にある「私的利用の範囲」での音楽CDのリッピング、音楽CDのコピーは今まで通り行えます。(当然の権利)
DVD-Videoのような「暗号プロテクト」が掛かったものを「解除」してコピー、リッピングしたら駄目ということ。
CDにもコピー防止技術が使われている!という人もいますが、CDのSCMSはコピー防止技術だけど、「デジタルコピーの回数」を制限するもの。
SCMS対応機器間では、デジタル接続によるコピーは1世代のみ可能。2世代目からは、録音側機器がデジタル信号に含まれるコピー情報を検出して、録音を行わないようにする。
CDからDATやMDへのデジタルコピーの回数(世代)を制限するものです。
CDからDAT→DAT→DATという劣化の無いデジタルコピーを防ぐ意味で使われているもの。
(CDからCD-R→CD-Rということでも同じ)
私的範囲でのCDコピーでここが問題になることはないでしょ。DATは消え、MDも消えそうなんですから。
SCMSを「解除」することについては、1999年の販売禁止(不正競争防止法)でNGになってます。以前はSCMSを解除する秋月のキットが販売されていましたが、その後は販売してないでしょ。
コピーコントロールCD(CCCD)はどうなの?という疑問があるかと思いますが、これは暗号型技術を用いたものではなく、物理的に読み込みを妨害するものなので該当しません。
コピーコントロールCDは意図的に間違ったエラー訂正符号を記録しておくことによって、誤り訂正機能が正常に働かなくなることを狙ったもの
新型のコピーコントロールCDが出たら?とか想像する人もいるかと思いますが、CCCDがCDという規格を逸したもの(CD再生専用機器でも再生できるかどうかわからないもの)なのに、さらにCDに暗号型プロテクトを掛けるとなると再生機器を総入れ替えしなければならず、現実的では無いと思います。
(音楽CDをやめ、暗号型プロテクトのSACD、しかもシングルレイヤーに移行すれば解決するでしょうが現実的とは思えません)
(音楽CDをやめ、暗号型プロテクトのSACD、しかもシングルレイヤーに移行すれば解決するでしょうが現実的とは思えません)
長くなりますが全て引用。
http://ja.wikibooks.org/wiki/著作権法第30条
条文
(私的使用のための複製)
第30条
1.著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合2.私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
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