いまの日本では「メッセージ・ソング」ってのは『応援歌』みたいな意味合いになってるんですね。
たとえばこんな曲とか。
Yui - "Fight"
ちょっと前のアルバムの紹介ではこんな感じ。
MY SHORT STORIESの制作にあたり
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/yui-net/discography/srcl6899.html
'll be (アイルビー)大切なひとから、友達から、先輩から、家族から
そして、YUIから・・・。これからの"キミ"へのメッセージソング。
勘違いだと思ってたんですけど、やっぱり「メッセージソング≒応援歌」ってのが現状のようです。
本来の意味はそうじゃないだろと検索してみたら、やっぱり最近の日本の歌がおかしいってことのように思います。
"Message Song"
http://kotobank.jp/word/message+song
中村とうようさんが記述した解説が出てくるとは思わなかったんでびっくりですけど、「プロテスト・ソング」の項にあるように、「社会の中の不公平や不正を告発し抗議する歌」というのが本来の意味。「人生がんばれ」的な歌とは全く違うもの。
私がイメージするのは1980年代のイギリス。
リアルタイムで接していた音楽がなかなか日本じゃ歌われないような歌詞でびっくりというのが実体験。
たとえば、Paul Weller がやってた Style Council(スタイル・カウンシル)。
"Our Favourite Shop" というアルバムは代表作でもあり、日本でもそこそこ売れたと思います。(「おしゃれなイメージ」でですけどね)
佐野元春氏の「ヤング・ブラッズ」の引用元である "Shout To The Top" を収録しているアルバムでもあります。
Style Council - "Shout To The Top"
Style Council - "Internationalist"
で、このアルバム収録曲の歌詞、当時はアナログ国内盤でしたんで、日本語訳が付いていたわけです。当時は前述のYuiのリスナーと同年代の学生でしたから、そのかなりぶっとんだ内容に驚いたものです。
(当時のサッチャー率いる保守党への辛辣なメッセージが歌われています。(映画「リトル・ダンサー」の時代背景そのまんまです)
そうそう、同時期にはビリー・ブラッグはもっと過激でした。
90年代以降、WiicoやBeckと共作でアルバムを出すことになるとはいやはや。
そういうわけで、「がんばれ、がんばれ」とか「ナンバーワンよりオンリーワン」な楽曲がメッセージ・ソングになってしまっている社会っておかしくないですかね?
ファッションとしての「パンク」とかそういうのは以前からあったわけですけど、「メッセージ性の強い歌」が「人生応援歌」になってしまっているのってやっぱりおかしいと思います。