1600円と前号と同じ価格。CD一枚買える値段ですから、あんまり乗り気ではなかったのです。
Twitterで話題になることもあったので、ついつい。
次号から年2回の刊行とのこと。部数としては順調ということなんでしょう。
前号と何が変わったのか。
・付録のオーディオデータ収録ディスクがCD-ROMからDVD-ROMにぐんと増量。
・ページ数も増量
という感じです。
前号ではどうも「今までのメンバーでやりくりしました」という感が強かったのですが、特集記事「まずはPCオーディオを始めてみよう」は、MUSIC TO GO !やHead-Fiでもお馴染みの佐々木さんが執筆。
ここは大きな違い。
冒頭の特集では佐々木氏が初心者向けにわかりやすく書いています。
特定の環境に対するものにならないように書いているのが印象的。
まずは始めてみようという内容ですが、WindowsXPやWindows7、MacOS Xそれぞれの方法を書いており、コラムとして「スペックの読み方」「USB DAC導入の実際」「WindowsかMacか」「シャットダウンの必要な理由」「さまざまなミュージックプレーヤー」と文中での内容を補っており、特集記事内で完結しています。
続く記事「私のPCオーディオおすすめプラン」は三氏が執筆。
「入門者におすすめしたいMacBookで始めるPCオーディオ」は角田氏のスタンスが曖昧。
Firewireを使うのであれば、ポートの存在しないMacBookではなくFirewireポート付きのMacBookProを前面に出すべき。
角田氏のMac環境の記述があったり、Firewire接続のオーディオ機器の写真があったりと初心者が混乱するだけ。自分の環境を書くのであれば、「入門者におすすめ」というタイトルにすべきではありません。
続く山本氏の「手持ちのパソコンでお金をかけずに音にこだわる」、実際はWindows(ファンレスのレッツノートを推奨)を使っての記事内容。
「手持ちのパソコンで」とあるが、これは読者を指すのではなく、山本氏を指しています。ここがまず問題。
「ちょっと古めのレッツノートはとても安くなった」として、中古での入手、HDD換装も「ヤフーオークションで」「検索をかけると」ということで、誰に対する記事なのかはっきりしません。
これからPCオーディオを始めてみようという人が「ファンレスのレッツノート」を中古で購入し、ヤフオクで大容量のHDDに換装するという記事を読んで、実践するでしょうか?
「手持ちのパソコン」という定義はなんなの?と思いますね。
山本氏とは面識があるだけにがっかり。
最後の御田氏は「PCオーディオの上級システムを組むとしたら」という記事で「超のつく人達向けではない」ものの概略を考えるという内容。
コンピュータ、ハードウェア、ソフトウェアなどの各内容について考察するという内容ではあるものの、内容が散漫。
コンピュータの項では、Mac miniを出したかと思うとOSのLinux/Ubuntuが出てくる内容。読んでいて頭の中を整理してから書いて欲しい、絞って書いて欲しいと思う内容。
ハードウェアの項では、D/AコンバータをHD-7A(USB DAC 27.3万円)に絞ったかと思いきや、次に出てくるのがOrpheus(FirewireオーディオI/F 85万円)、そしてここまで狙うならアンテローブOCXと妄想が進みます。
構成図を書けばすっきりするのに、商品写真だけで済ますという手抜き記事。
それぞれがどのような役割を持つ機材で、どういう関係(構成)になるのか、読者は置いていかれ混乱するのみ。上記の通り、三氏の記事は読んでいると「?」がいくつも。角田氏、山本氏、御田氏の記事は不要では?
密度を比較。写真左から山本氏、角田氏、佐々木氏の記事順。段組と行間に注目。
レイアウト:佐々木氏の記事のみ4段組、角田氏、山本氏は3段組。
スペースを埋めることを優先してませんか?
その後はオーディオインターフェースの機種紹介になるのですが、カタログ情報に留まるものが多く、RME、コード(CHORD)、リン(LINN)、PS Audio、Wadiaの記事分量が多いのは製品がというよりは広告のため?と思ってしまう内容。
と、今号も不満の多い内容です。
オーディオデータ目当てに買うんだから文章関係無いと割り切るのか、だったら有料配信で自分の好きなデータを入手した方が良いのではと思う次第。
裾野を拡げたいのであれば、「iPodユーザーのためのオススメアイテム」(林正正儀氏の記事)のような実践的な記事をもっと増やすべき。
この記事では、TEAC CR-H500NTというCDレシーバを用いた、iPodを音源として使う方法、インターネットラジオについての紹介があり、ここをもっとふくらませることで入門用記事になったのにと残念。
また、iPodトランスポートのONKYO ND-S1と専用強化電源の紹介もあり、「ちょっとやってみようか」という内容になっています。
ここでも残念なのは、TEACのレシーバとONKYO ND-S1は接続できないこと。TEACのレシーバを使ってこういうシステム構成ができますよ、という可能性を紹介するには至っていない点が残念。
前号に「PCオーディオの世界へようこそ!」と題した金城編集長の発刊の言葉があります。
「PCとオーディオの新しい関係を明らかにするとともに、PCを使って高品位なサウンドを楽しむためのさまざまな方法を、具体的に紹介していこうというのが本誌の目的です」
この目的は未だに達成されていないようです。
同感です。
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