エルピーダはあーなっちゃったし、ルネサス(ルネサス エレクトロニクス)も工場を閉鎖したりと大変みたい。
ルネサス エレクトロニクス 事業紹介
http://japan.renesas.com/comp/profile/business/index.jsp
Wikipedia ルネサス エレクトロニクス
http://ja.wikipedia.org/wiki/ルネサス_エレクトロニクス
ルネサス エレクトロニクス株式会社(英語: Renesas Electronics Corporation)は、東京都千代田区に本社、川崎市中原区に本店を置く大手半導体メーカー。 三菱電機および日立製作所から分社化していたルネサス テクノロジと、NECから分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年(平成22年)4月に設立された。社名に冠する『Renesas』は、あらゆるシステムに組み込まれることで世の中の先進化を実現していく真の半導体のメーカーとして「Renaissance Semiconductor for Advanced Solutions」を標榜して名付けられたものであり、ここには日本から世界に向けた半導体産業復興の意が込められている。
PC関連のチップ(USB3.0のホストコントローラ)とかでも馴染みがありますけど、アナログIC、オペアンプでもお馴染みの存在。
実家が水戸なもんで、ルネサスの那珂工場は日立製作所の工場が建ち並ぶひたちなか市の国道6号沿いの「あのへん」だし(近くにブックオフがあるから「あのへんね」と覚えてます)、そういう意味でも身近な存在でもあったりします。
(実際はブックオフの駐車場からよく見えるのは水戸工場(水戸に無いけど水戸工場)のエレベータ塔だったりするんですけどね)
PC Watchの連載記事でもルネサスのことがたくさん。
PC Watch【福田昭のセミコン業界最前線】ルネサスの「明日」はまだ見えない
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20130807_610656.html
この連載記事では以下のようにルネサスについて何度も取り上げています。
ざっとこんな感じ。タイトルからして大丈夫じゃない感が漂っています。
PC Watch - 福田昭のセミコン業界最前線
ルネサスの「明日」が見えない
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20130703_606176.html
赤尾ルネサスから鶴丸ルネサスへ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20130404_594554.html
国有化されるルネサス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20121213_578565.html
ルネサス モバイルの挑戦と挫折
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20130401_593966.html
ルネサスという「バケツ」に開いた穴
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20121003_563479.html
USB、LTEと製造外注で復活を期するルネサスのSoC事業
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20101018_400333.html
破綻しつつある新生ルネサスの事業統合シナリオ
誕生後1年を経過したルネサス エレクトロニクスが抱える課題
USB、LTEと製造外注で復活を期するルネサスのSoC事業
2012年度までの中期計画だったルネサスの「100日プロジェクト」
ルネサス エレクトロニクスの誕生
もう記事タイトルからして駄目駄目感でいっぱい。
これじゃ『メイド・イン・ジャパンはやっぱり駄目なのか』と思ってしまいますよね。
これじゃ『メイド・イン・ジャパンはやっぱり駄目なのか』と思ってしまいますよね。
PC Watchという媒体だからなんでしょうが、これらの記事を読んでも「そうじゃないだろ!」という違和感があるんです。
『なんで儲からないの?』という素朴な疑問に応えるような記事になっていないのが問題かと。
駄目駄目なのは「本質」が書かれていないPC Watchの記事の方。(同じネタで記事を書くことができるから?と嫌味の一つでも言いたくなります)
駄目駄目なのは「本質」が書かれていないPC Watchの記事の方。(同じネタで記事を書くことができるから?と嫌味の一つでも言いたくなります)
東洋経済 会社四季報 2013年06月14日より。
6723 ルネサスエレクトロニクス るねさすえれくとろにくす[ 電気機器 ]
【URL】http://japan.renesas.com/
【決算】3月
【設立】2002.11
【上場】2003.7
【特色】NECエレとルネサステクが統合。車載用マイコンで世界首位。SoC事業を縮小。経営再建中
【連結事業】マイコン39、アナログ&パワー半導体30、SoC(システム・オン・チップ)22、他9【海外】46
【改 善】後工程3工場を売却。主力のマイコンが車載用活発、産業用も下期伸びる。民生軸にSoCの不採算品絞り込む。前期構造改革で償却費大幅圧縮、500億円の人件費減。営業黒字復帰。リストラ特損減。
【新体制】モバイル事業は13年末メドに売却か清算。6月末に第三者割当増資で1500億円調達、構造改革とマイコン開発加速。オムロン作田会長が会長兼CEO就任。
普通だったら、なんでそんなに儲からないの?経営者が能なしなのか?と思うところですが、そうじゃないんです。「市場シェアはすごい」けど「儲かってない」んです。それに加えて「やめちゃいたいけどやめられない」という業界事情があるんです。
(ここをもっとはっきり書けばいいのにと思うわけ)
日経Automotive Technology - Tech-On!
分解したエンジンECUのマイコンで多かったルネサス製
東日本大震災で著しく影響を受けた自動車産業で、回復が遅れたのがルネサス エレクトロニクスが生産する自動車用マイコンです。調査会社のIHS iSuppliによれば、同社の自動車用マイコンの世界シェアは44%といい、特に日本の自動車メーカーは多くがルネサスに依存しています。
通常は、ここまでのシェアがあれば納入先のメーカに対して主導権を持つようになるんじゃないかと思えてしまいますが、実情はそういうことじゃないようです。
こちらの記事がとてもわかりやすく解説しています。
トヨタの誤算とルネサスの苦悩
マイコンシェア1位で何故か赤字(Electronic Journal 2011年6月号)
ルネサスエレクトロニクス・那珂工場が被災したことにより、那珂工場からマイコン(MCU)を調達していたトヨタ自動車の自動車生産が滞った。デンソーへの依存度が高かったトヨタは、リスク回避のためにデンソー以外の下請けに電装部品を分散させていた。ところが、ほとんどすべての下請けが那珂工場からMCUを調達していた。ここにトヨタの誤算があった。また、MCU製造の際、ラインも装置もプロセスも固定する「ライン認定」が必須とされていた。これが障害となって、那珂工場以外での代替生産ができなかった。さらに、自動車メーカーは、極めて厳しい使用環境で20年の品質保証と不良ゼロを要求する。その結果、MCUはまったく割に合わないビジネスとなり、これがルネサスの赤字体質の一因となっている。自動車産業および半導体産業が健全に成長するためには、これまでの非合理なビジネス慣習を是正する必要がある。
新潟の中越地震の際にも自動車部品を供給する工場が被災し、自動車会社の生産に支障が出たというのを記憶している方も多いかと。
そういう経験もあって自動車会社は複数の会社に発注してリスクを分散したつもりだったけど、それに搭載されていた部品がルネサス製。しかも「一つの工場」だったという話。
Electronic Journal 2011年6月号より
もう、こんなにわかりやすい図まで用意されてます。
半導体メーカなんて日本以外にもたくさんあるんだし、他所に注文すれば・・・ということができるのは民生用まで。
自動車ともなると人命が掛かってますから(ECUが熱暴走したらって考えればわかるかと)、作れればどこでもいい、安ければどこでもいい、というわけにはいきません。
記事の「●何故代替生産ができないのか?」にある通り、ルネサスの他工場で生産しようと思えば生産できたけど、(被災した)その工場じゃないと「認定部品」にならないから他工場で生産できないという事情があるわけです。同じルネサスという会社の中でもNGなんだから、他社でとなるともっと大変。
最近だと航空機のボーイング787のバッテリーのトラブルが話題になりましたけど、それじゃ他の会社の部品に取り替えて...というわけにはいかなかったのも同じこと。
B787のトラブルはバッテリー本体を供給する日本の会社(上図でいう最下層)と、そのバッテリーを含めた制御する装置(バッテリーユニット)を供給するフランスの会社(上図の中間)と分かれていたので、同じ構図かと。
同記事より。
●世界シェア1位なのに何故赤字
ルネサスは、マイコンの世界シェア1位(30%)の半導体メーカーである。車載用マイコン/ECUに限れば、世界シェア42%を占めている。しかし、収益性は恐ろしく悪い。米Gartnerによると、2010年の世界ランキングは5位だが、売上高1兆1500億円、営業利益は70億円。つまり、営業利益率はたったの0.61%だった。そして、2011年3月期の連結決算では、1150億円の赤字に転落してしまった。
一方、同じマイコンでも、PC用のCPUを製造している米Intelは、世界ランキング1位、2010年の業績は売上高436億ドル、営業利益159億ドル、営業利益率は36.5%であった。
用途は違うが、同じマイコンを製造しているのに、この利益率の差は一体どういうことなのか。とにかく、ルネサスの収益性の低さは、断トツなのである
本来であれば、PC Watchが得意な分野のインテルと比較もこの通り。
「ルネサスの「明日」が見えない」のはこの儲からない仕事をやめられないからでしょ。
PC Watch - 福田昭のセミコン業界最前線
国有化されるルネサス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20121213_578565.html
ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下は「ルネサス」)は2012年12月10日、同社の取締役会において同日、第三者割り当てによる増資を決議したと発表した。割当先企業は産業革新機構とコンソーシアム8社(トヨタ自動車、日産自動車、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機)の合計9社である。発行する株式数は普通株式で12億5,000万株。その92%に相当する11億5,291万7,000株を産業革新機構が購入する。この第三者割当増資の結果、産業革新機構はルネサスの発行株式の69.16%を保有する最大株主となる。
(キヤノンとニコンはカメラ関連じゃなく、半導体製造装置(ステッパー)メーカとしての関係かと思います)
Electronic Journal 2011年6月号より
●ルネサス技術者の地獄はこれから始まる
冒頭で述べたように、自動車メーカーの応援により、那珂工場の復旧は大幅に前倒しされた。6月には、ラインが稼働し始める。しかし、そこからルネサス那珂工場の技術者の地獄の苦しみが始まる。歩留りとの戦いである。不良ゼロとの戦いと言ってもいい。
一度壊れたクリーンルームで、一度壊れた数百台の装置を動かすのである。震災前の正常な状態に戻るのに、どれほどの労力とコストが必要なのか。自動車メーカーは、もう助けてはくれない。むしろ、我儘な王様として、ルネサス那珂工場の前に立ちはだかるのである。その上、ECUの立ち上げを最優先したため、携帯電話用LSIやデジタル家電用SoCは後回しになっている。こちらの発注者も、鬼のように迫ってくるだろう。
震災直後は『絆』という胡散臭い言葉で 自動車メーカが支援したけど、それは自社の生産に影響があると困るから。
ルネサスからしてみれば、儲かる仕事を優先して復旧したかったけど、そうはさせてもらえなかったということ。儲からない仕事を優先したばっかりに、いまの状態になっているということです。
儲からない商売をやめ、儲かる商売に注力すべきところなのに、その逆という最悪なパターンになっているように思います。
中の方に知人(同じ研究室だった)がおりますが、当プログの内容は実に的中しております。
返信削除自動車メーカーの要求品質は、なんと「不良ゼロ」。
不良が出た日には、品質管理部門の人間が呼びつけられ、酷い叱責と徹底的な原因究明、対策を求められます。
通常の民生用マイコンの要求品質は5~10年使用した場合でせいぜい1000ppm(0.1%)程度。
確かに、人の命がかかっているからと言われればそれまでですが、じゃあ高く買ってくれるかというと、民生用マイコンに毛が生えた程度の値段。その上フルカスタム品。たとえばト○タ向けに作ったものは、ニ△サン向けには売れないとか、そんな感じです。
残念ながら、骨の髄までしゃぶり尽くされ、破綻への道を突き進むのでしょうね。
まったく同意です。数ヶ月前に、同様のことをものすごく要約して◯◯BP社の上のほうのポジションにおられる方に話しました。うなづいてはおられましたが実際どのように感じられたのか、感じていらっしゃるのかは判らないままです。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除PC関連のニュースサイトだから的外れなこと書いているのか、筆者がわかっていないのかわかりませんが、半導体業界の人じゃない私でもこれじゃ会社が「生き地獄」状態、自動車会社の「奴隷企業」になってしまっているよなぁ、ということで書いた次第。
「産業のコメ」とまで言われた半導体業界ですが、撤退や縮小が続くのは日本の製造業が弱くなっているからというより、このようなルネサスが陥った悪循環が背景にあると考えています。