2013年7月14日

消化映画 - 「パットン大戦車軍団」(1970年)

NHK-BSプレミアムで放送されたものを録画視聴。
戦争映画大好きだった私なんですが、通しで観たのは初めてでした。

パットン大戦車軍団 | Movie Walker
http://movie.walkerplus.com/mv7366/
アメリカの産んだ名将の、波瀾の生涯を描いた戦争巨編。製作はフランク・マッカーシー、監督は「猿の惑星」のフランクリン・J・シャフナー。ラディスラス・ファラーゴの原作を「雨のニューオーリンズ」のフランシス・フォード・コッポラとエドモンド・H・ノースが脚色。音楽は「刑事」のジュリー・ゴールドスミス、撮影は「空かける強盗団」のフレッド・コーネカンプ、編集はヒュー・ファウラーがそれぞれ担当。出演は「華やかな情事」のジョージ・C・スコット、「血と怒りの河」のカール・マルデン、「北京の55日」のスティーブン・ヤング、「白銀のレーサー」のカール・ミカエル・フォーグラー、「ハマーヘッド」のマイケル・ベイツなど。デラックスカラー、D150 方式。1970年作品。

以下のパットンの演説で始まる出だしは、1970年という時代背景(ヴェトナム戦争の真っ只中)を考えるとプロパガンダ映画そのもの。(背景は大きな星条旗)
「アメリカ人は昔から戦いが好きだ」
「本物のアメリカ人は皆、戦いの刺激を愛す」
「アメリカ人は勝者を好み、敗者を容赦しない」
さらに、
「我々は負けたことがない、戦争も必ず勝つ。なぜならアメリカ人は負けを考えることすら嫌う」
と続きます。

この演説はドイツ軍とナチスの戦いに向けたものなんですけど、映画制作時の時代背景をどうしても考えてしまうから、これは厭戦気分を払拭するためのプロパガンダなのか、戦争というものを冷静に考えさせようとする映画なのかと悩みました。

この冒頭のシーン、Wikipediaによれば、実際にパットンが訓話したものがベースになっているようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/パットン大戦車軍団
オープニングのモノローグは1944年6月5日、ノルマンディー上陸作戦に先立って行われたスピーチを元にした物であったが、実際のスピーチには多くの不敬表現が含まれており(パットンは平時から言葉遣いの乱暴さで有名であった)、映画ではそのような表現の大部分は排除されるかあるいはより穏やかな表現に置き換えられた。

映画で描かれるのは北アフリカでの第2軍団司令官への着任から1945年10月の第15軍司令官への異動までの期間。

戦闘シーンは戦車と砲撃が中心で、駄目な友軍のイギリス軍、だらしない部下たち(アメリカ軍)には高い規律を求め、実際にパットンってこういう人だったみたいですね。

日本人の感覚からすると、規律は「そんな程度なの?」という感じがしてしまいます。日本軍の規律は上官からのビンタとか日常(水木茂氏のマンガや著作によく描かれているもの)だったわけで、「あんな程度で左遷させられてしまうのか」と感じます。

具体的には野戦病院のシーンで、負傷した兵を見舞い、重症な兵に対しては涙ぐみ、元気そうに見えた「戦争ノイローゼ」の兵を殴り叱責。
この殴ったことが原因でパットンは兵団司令の任をはずされています。(左遷ですね)

「この程度のこと」で人事が動くというのにびっくりしちゃうのはやっぱり日本人だからなんですかね。(体罰問題と同じで、最初に「体罰は必要」と言った大阪市長と同じ感覚)


170分の大作映画です。
パットンは歴史に詳しく、戦地となった場所を歴史書の引用をしたりして、ある程度ローマ帝国の話を知っていないと何言ってるんだ?となります。
パットンを演じたジョージ・C・スコットはアカデミー賞の受賞を拒否したり、政治的にはリベラルな人だったようです。

この映画の冒頭の演説シーンや終盤のロシア嫌いなところだけを取り上げて「好戦的な映画」という目で見られがちですが、終盤の記者からのインタビューシーンではそうじゃないという側面も描かれています。
記者「ドイツ軍が夢の兵器を研究中でした。長距離ロケット、遠隔爆撃、兵士抜きの兵器」
パットン「夢の兵器?どこが夢だ。英雄も賞賛もなく殺すだけ?」「腰抜けも、兵隊も抜きか。将軍も。ただ生き残った者と死んだ者だけ。ぞっとする」

記者「今でも重要な地位に元ナチを用いているとか」
パットン「訓練された人員が来ればナチは排除する。それまでは鉄道や電話を任せるさ」
記者「結局、普通のナチ党員というのは、我々の共和党員、民主党員と同じと?」
パットン「まあな」
記者「国策は軍人ではなく、民間人が決めるべきと?」
パットン「そうだ。しかし軍の活動は必ず中途で終わらされ、次の戦争に」
第二次大戦のヨーロッパ戦線のことを語っているわけですが、映画制作、公開時のヴェトナムへの侵略や中南米、南米へのアメリカの関与、そしてアフガニスタン、イラクへの侵略戦争を考えると、「本物のアメリカ人は皆、戦いの刺激を愛す」をそのまんまやってしまているのがこの国。

ロナルド・レーガンたちが好んだ「強いアメリカ」という部分以外に目を向けると「そうじゃない映画」とも受け取ることができます。
(職業軍人の悲哀さも感じられますが、これは祖父が職業軍人だったからかな)


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