2013年9月6日

「ゆとり教育」の台形面積計算方法

ゆとり教育」って政策、現時点ではすごく否定的なものなように扱われています。
ゆとり(世代)だから」で済ませたりというのがネット上、リアルな会話でも出てきます。

ゆとり教育の反動で「脱ゆとり」の方向が第一次安倍政権で決まり、現在は「生きる力」という学習指導要領のもと、学校での教育が行われています。

文部科学省:新学習指導要領・生きる力
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/


生きる力を育むために、子どもたちの未来のために。
 新しい学習指導要領は、子どもたちの現状をふまえ、「生きる力」を育むという理念のもと、知識や技能の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視しています。
 これからの教育は、「ゆとり」でも、「詰め込み」でもありません。
 次代を担う子どもたちが、これからの社会において必要となる「生きる力」を身に付けてほしい。そのような思いで、新しい学習指導要領を定めました。
「生きる力」を育むためには、学校だけではなく、ご家庭や地域など社会全体で子どもたちの教育に取り組むことが大切です。
 子どもたちの未来のために。
 新学習指導要領、スタート。

「生きる力」と言えば聞こえはいいけど、要は新自由主義的価値観からすりゃ、これからもっと弱肉強食だから自分でなんとかしろって感じもしますね。
(少子化だから働く側が有利になる?なんてことにはなりません。雇用する側がせっせと「限定社員」とか「海外労働力」を導入し、少子化でも働く側が有利にならないようにしてますから)


で、ゆとり教育なんですが、「円周率は3でいい」というインパクトが印象に残っているから「そんなんじゃ駄目だろ!」となったり、(他国との比較で日本の)「学習ランクが落ちた」とかあって、今は「脱ゆとり」なわけです。
(円周率は3.14と教えるけど、3と略して計算してもいいよという程度のもので騒がれたものとは実際は違ったみたいですけどね)


「ゆとり教育」を否定中な世の中なんですが、実際の学校ではその間に「土曜日は休み」(週5日制)にしたことや「ハッピーマンデー」とやらの「祝日移動」で学校の3連休が増え(週4日の増加)、授業時間そのものが確保できないこともあって、夏休みの期間が以前よりも短くなっている自治体もあります。(茨城県だと水戸市は8/31までじゃなくなってました)小学校1年でも入学早々に午後の授業開始とかもその影響。

『「ゆとり教育」は日教組のしわざ』とか思っている人も多いみたいだけど、ゆとり教育は1984年、中曽根政権時の臨教審で決まったもの。
中曽根政権時代ですから、三公社の民営化もこの時。専売公社がJTへ、国鉄が分割民営化されJR各社に、電電公社がNTTへ、というあの時代です。
(国鉄分割民営化の真の目的は、労働組合の解体と中曽根「大勲位」康弘ご本人が回想している通りで、当時の状況を考えれば、当時の政治家、閣僚、経営者団体(雇用する側)が欲する人材を決めたのが「ゆとり教育」だったわけです)

臨時教育審議会
http://ja.wikipedia.org/wiki/臨時教育審議会
評価
「教育の自由化」が主張され、その後の新自由主義的・市場主義的な教育改革の端緒になったと評価されている。
また、それまでの教育政策は「文部省(教育行政)」対「日教組(教職員組合)」という二項対立的枠組みで議論されてきたが、臨時教育審議会によりこの関係構図が大きく変わり、官邸主導・政治主導の教育政策立案という新しい流れが作られた

教育評論家の方はこのように書かれています。

森口朗公式ブログ ゆとり教育は日教組のせいか
http://d.hatena.ne.jp/moriguchiakira/20090308
ということで、今になって「日教組のせい」と主張する連中は、大東亜戦争(太平洋戦争)を全て軍部のせいにする卑怯者たちと同じメンタリティといえるでしょう。

 ゆとり教育推進の真の狙いの一つに「教員の週休2日制の実現」があったことは、左派(しかいない)教育学者たちも認めているところですから、日教組に責任がないとは言えませんが、彼らだけの責任ではありません。


さて本題。
ゆとり教育では「台形の面積の公式を学ばない」という事象もありました。

台形の公式ってのは、(上辺+下辺)×高さ÷2 というあれです。

公式をおまじないのように覚えておけば計算できるってことではあります。
(面積の公式ってなんだかんだ言って覚えてるもんではありますね)

「ゆとり教育」では台形の面積を計算できないから駄目じゃんとなるところですが、実際には公式は教えないけど、計算方法を変えたというものです。

意味もよくわからずに「(上辺+下辺)×高さ÷2」という呪文を覚えてた自分にとっては、
これ知ったときは目から鱗でした。「そうきたか!」と。

三角形の面積の求め方はもちろん小学校で習うんで、台形の面積は三角形に分割してそれを合算すればいいじゃないかというもの。

三角形の面積は、「底辺×高さ÷2」だから、台形の面積は「上辺×高さ÷2」と「下辺×高さ÷2」の合計値となるわけです。

上辺を3、下辺を5、高さを4とした場合、
  • 台形の公式では、(3+5)×4÷2 =16
  • 「ゆとり方式」では、3×4÷2=6 と 5×4÷2=10 を足して、16
で計算結果は同じになります。

呪文のような公式を覚えるよりも、「台形は2つの三角形からできている」と学ぶ方が台形に対する理解は高まると思うわけです。(応用なわけですから)

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