2010年11月14日

別冊ステレオサウンド Digi Fi 創刊号

別冊ステレオサウンド "Digi Fi" が届きました。サブタイトルは、「今より”いい音”を」。


オーディオ雑誌の最近の傾向(2010年秋に出たものをまとめて)で書いていたように、立ち読みしてからと思っていましたが、近所の書店に無かったのでありました。
なもんで、通販。


ざっくりと読んだ感じでは、オーディオ誌の悪い面(独りよがりな部分)があまり無く、写真もきれいでレイアウトもしっかり。
以前のMAC POWER誌のような感じ。


こんな感じのレイアウト。タイトル、写真、文字のレイアウトがきれい。共同通信さんもこのぐらいのことやるべき。



表紙の大貫妙子さんと坂本龍一さんのインタビューは見開き2ページだけ。あれれ??


平間至さん(写真家)へのインタビューも見開き2ページだけ。ありゃ?


音楽を中心としたものについては、同じステレオサウンドから出ている Beat Sound が担当、ハードウェアを中心としたものがこの Digi Fi という感じなんですかね。
私には Beat Sound の方が楽しめる内容だったりしますね。(Beat Sound誌No.13 購入
こちらは音楽が主で、オーディオが従という感じの誌面構成になってます。

創刊号ということで、入門的な記事が多いです。
中級者向け再生システム早わかりでは、5つのパターンを図示してわかりやすく説明。


  1. iPodがあればそれで十分? (iPod + 専用ドック + プリメイン + スピーカ)
  2. PCオーディオはココから始まる! (PC + USB付DAC or オーディオインターフェース + アクティブスピーカ)
  3. シンプル・イズ・ベスト! (PC & iPod + USB/専用ドック付プリメイン + スピーカ)
  4. モデルは充実、どれを選ぶ? (PC + USB付DAC or オーディオインターフェース)
  5. ネットワークプレーヤーで決まり? (NASとネットワークプレーヤーを組み合わせ)
2〜5については、後半の誌面で特集されており、このページで概要をつかんで個別のページへという誘導がうまくいっているように思います。

1という選択肢も当然ありですから、すでに持っている機器(ミニコンポ含め)と接続するということをあえて書いている点には好感を持ちました。
高価な機器ありき、という誌面でない点も好感を持ちます。

1については関連記事が無い書き方になっていますが、iPodと接続するスピーカのレビューもあります。

4ページを使ったiPodスピーカの紹介は全部で11機種。12,800円〜50,000という価格帯のもの。
ロジクールやボーズ、JBLの定番商品の他、ビクターやヤマハ、パイオニアなど国内メーカの製品も取りあげられています。


2〜4については、対応するいろいろな機器をクロスレビューで紹介しています。

2に関連するのがアクティブスピーカ。こちらも11機種。10,000円〜80,000円という価格帯。
アクティブスピーカはもっと低価格なものも入れた方が良いかなと思います。8万円のものが「ベストバイ」と言われても、そりゃそうなんでしょうねと思ってしまいます。
8万円出すならアクティブスピーカにする意味ってどうなのよ?と思います。


3のUSB DAC内蔵プリメインでは、ラステームのRSDA302U、ケンウッドのKAF-A55という国内メーカを含む5機種。23,950円〜105,000円という幅。
なかなか取りあげられないラステームやKAF-A55のようなものがあるというのは良いですね。
(それにしても選択基準がまちまちだなという印象も)


USB DACは全5機種。もっとあるんだから増やしても良いと思うんですが。
NuForce Icon uDAC2からLINDEMANN USB-DAC 24/192まで。価格帯は15,750円〜118,000円まで。ラステームのUDAC192も入ってます。


あえて分けてあるオーディオインターフェース。こちらは全部で11機種。10,000円〜150,000円と幅が大きいです。
TASCAMやM-AUDIOはあるけど、ROLANDやベリンガーは無し。なんでかな。


クロスレビュー形式での紹介は良いと思うのですが、数字だけ見て文章を読まないという弊害もあるので、そのへんをどう考えるかは微妙かなと。
実測データが全く無いというのも不思議。面倒だからやらなかっただけ?
アクティブスピーカだったらやる意味はあると思いますけど。

あとこの手の雑誌にしては珍しく、サウンドカード(PCに内蔵するもの)の特集記事があります。15,000〜20,000程度のものを6枚取りあげています。
内蔵との比較、低価格のものとの比較という部分をもっとはっきり書いて欲しいです。


後半の記事では、ヘッドフォンでのリスニングが中心になっています。
  1. デジタルオーディオプレイヤーを今より「いい音」で鳴らす
  2. イヤフォンとヘッドフォンを今より「いい音」で鳴らす
  3. イヤフォンとヘッドフォンを今より「いい音」で鳴らしきる
というジャンルに沿った製品ガイドがあり、どこを主眼に置くかというよくできた構成になっています。

1では、iPod、WMそれぞれの場合が提案されており丁寧。COWON、HiFiMANも紹介されています。
2では、ヘッドフォンアンプ内蔵(記事タイトルでは「内臓」とtypoされてます)のUSB DACとヘッドフォンの組み合わせを紹介。1ページ1台のUSB DACにヘッドフォン2機種という構成。
3では、据置のヘッドフォンアンプを紹介しながら、それにヘッドフォンを組み合わせての紹介という感じ。

音楽に関する情報は姉妹誌の Beat Sound で、ということなのでしょうが、Beat Sound誌でもオーディオ記事が多いので、あえて二誌出す意味合いが難しくなりそうです。
(読み物としての面白さでは Beat Soundが上だと思います)

想定年齢層をどのぐらいに置いているのか謎なのが、「萌え要素のマンガ」(家人談)で紹介する部分。
ヘッドフォンをしている女性モデルの写真を使った後半の特集記事と大きく異なる部分。(製品紹介でのすっきりレイアウトとも大きく異なりますね)

マンガを使っての解説は昔のFM誌でもやってましたし、わかりやすく伝えたいという意味なんだろうけど、あのマンガは意味無いだろうな、と思うもの。

レビュー記事はどうしても抽象的になってしまうけど、前述の通りデータで出せるものもデータ無し。これは改善して欲しい部分。


PCオーディオfan No.2 のUSBケーブルレビューのような『朗読での吉永小百合の声が何歳に聞こえるか』という滑稽なレビューが無かったのには安心しました。


この種類のオーディオ誌は入門記事が多いので、どうしても似た内容になりがちですが、広告を掲載していないメーカ(代理店)の製品を積極的に取りあげているなど、共同通信発行の誌面とは大きく異なります。
(共同通信のオーディオ誌で常連である山本氏もこの雑誌に寄稿していますが、エッセイになっており、他誌での「悪ノリ」が無く良かったです)



OTOTOYで特定の6曲を無料ダウンロードできるおまけが付属してます。
高品質の音楽配信をメインに扱いながらメディア付属させている雑誌もありますが、こっちの方がスマート。
会員登録しなければならないという面倒さもありますから、どれだけの方がダウンロードするのかな。
(楽曲はすべて24bit-48kHzのWAVとのこと)


とあれこれ書いてきましたが、これから機器を揃えていきたいけど、どういうのをどう選べば良いのか、と悩んでいる方には購入を推奨します。


関連
オーディオ雑誌の最近の傾向(2010年秋に出たものをまとめて)
Beat Sound誌No.13 購入
PCオーディオ fan誌について想う(共同通信さんへの企画書)
PCオーディオ fan誌No.2 購入 (Mook)
PCオーディオ fan誌 購入 (Mook)

0 件のコメント:

コメントを投稿