2013年7月22日

消化映画 - 「カムイ外伝」 (2009年)

白土三平氏のマンガが大好きです。「ファンです」だなんてとても言えないぐらいに好き。

映画化されたとは知ってたけど、子供の頃に見たアニメ版や原作の影響から「こわくて見られない」状態だった作品でもあります。

そういうわけでBS日テレで放送されたものを録画視聴した次第。

カムイ外伝 | Movie Walker
http://movie.walkerplus.com/mv38291/
江戸時代の日本。貧しい村に生まれ、忍者となった男カムイ(松山ケンイチ)。だが彼は、理不尽な殺戮、掟に縛られた世界に嫌気が差し、自由を求めて忍の世界を抜ける。同時にそれは裏切り者として追っ手と戦う運命を背負うことでもあった。彼を追うのは、かつての仲間、大頭(イーキン・チェン)やミクモ(芦名星)。その執拗な追跡を逃れ、生きるための逃亡の旅は続く。
監督:崔洋一アクション監督:谷垣健治脚本:崔洋一 、 宮藤官九郎撮影:江崎朋生 、 藤澤順一出演:松山ケンイチ、小雪、伊藤英明、佐藤浩市、小林薫ほか

脚本は監督の崔洋一と宮藤官九郎だったんですね。見終わってから気付きました。いやはや。(いろんな意味で)

放送時間はCM入れての2時間なのでテレビ放送用に編集されたものだと思います。


まずは、「カムイ外伝とはなんぞや」というところから知っておいた方が良い映画だと思います。(映画の冒頭に解説されるんだけれど、それじゃちょっと意味合いが違ってしまうじゃないか、余計な解説しないでくれと言いたくなります)

カムイ外伝 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/カムイ外伝

私は子供の頃に再放送されたアニメで「カムイ外伝」を知ったのが最初。

当時は夕方に手塚治虫の「リボンの騎士」とか白土三平の「サスケ」「忍風カムイ外伝」とか再放送でやってたんです。「宇宙戦艦ヤマト」の再放送もやってましたし、「魔法使いサリー」は何度も再放送してたなぁ。地上波でアニメとなると深夜時間帯を除けば数少ないのが現状なようですから、贅沢な時代だったと言えるかも。

「カムイ外伝」にはその時の強烈な印象があったわけです。「サスケとはちょっと違うぞ」と。大人向けのアニメだなと思ったものです。(妖怪人間ベムにも似たものを感じたけど)


それからずーっと時代が過ぎ、「カムイ」と再開したのは1990年代中盤。
「外伝」については、1998年に小学館から文庫サイズで「カムイ外伝」が発売されたとき。

1990年代半ばは、ちょうどマンガ(コミックス)の文庫化ブームの時期でして、白土作品も多数文庫化され、「サスケ」「忍者武芸帳」そして「カムイ伝」とたくさん発売されました。
これらを「発見」する形で白土三平のマンガにのめり込み、文庫化された作品はほとんど揃えたはず。

その頃に「カムイと再会」し、本編である「カムイ伝」の文庫版が発売になって毎月買いそろえていました。(カムイ伝第一部の文庫版は全15巻)もちろん当時連載中だった「カムイ伝第二部」はコミックスで買い集めという状態でした。(ああ、全然まとまらない。好きすぎて駄目ですね)

カムイ伝、カムイ外伝にたどり着くまでにこんなに長くなってしまうぐらい(これでも削ったんですけど・・・)思い入れがあるという状態なわけです。

「外伝」とある通り、本編である「カムイ伝」のサイドストーリー(スピンオフ)作品がこの「カムイ外伝」なわけです。

そういう作品の映画化となると、やっぱりこういう思い入れがある人の期待値がのしかかってくるし、厳しい身分制度とか、残虐性という「カムイ」が背負っている設定を「21世紀の日本映画」で表現するのにはかなり無理があるだろうと思うわけです。

冒頭に書いた「こわくて見られない」状態ってのは、残忍なシーンの恐怖(ちなみにホラー映画は苦手です)と原作を知ってるから残念な出来になってそうで怖いという両方の意味、どちらかと言えば後者が強かったという次第。

2009年の日本映画ですが、アクションシーンとかCGの使い方とかは「どこかで見たことあるぞ」というもの。

ワイヤーアクションを多用し、合成とかCGはうまく使っているなと思いました。忍者(抜け忍)が主人公の映画を実写でやるというのはやっぱり大変なんだよなぁと思いますし。

これはちょっとと思ったのは、海のシーン。小舟が波でというシーンでその撮影はちょっと古いでしょ。あとはCGの使い方。青い空に青い海というシーンに顕著なんですが、「ハリウッドの書き割り」みたいになっていて制作費が足らなかったの?と思えてしまいます。

ストーリーについてはかなり強引だなと感じました。
先入観無し、カムイって何?マツケン主演の映画だから、という人だと違う印象になるんでしょうが。

なぜカムイが何者なのかという大事な部分が冒頭の解説(ナレーション)で済まされていたり、生まれ育った環境のシーンがさらっと流されています。
この部分は江戸時代の身分制度という現代では「表現に不自由が生じる部分」でもあるのであっさり済ませることにしたのかと思うけど、そういう「本当の話」が無いとただのアクション映画になってしまいます。
原作を下地にした全く違う話になっていればそれで済んだと思うんだけど、「スガルの島」という原作がベースになっていることもあり、原作ベースならその前の話を・・・と思えてしまいます。

そういうわけで、「カムイ」を知らないって人であれば、アクション映画として楽しめると思います。
「カムイ」を知っている人であればもの足りなさを感じると思います。書棚にある「カムイ外伝」を再読しようと思うはず。

テレビ放送だから放送枠に収めるためのカットもあったと思うけど「よくできた話」だと思います。(これは原作あってのものだけど)

松山ケンイチという人は昨年のNHK大河ドラマ「平清盛」で主役だったわけですが、この作品が影響しているのかなと思いました。「きたない」と評判だった平清盛ですが、この映画でその片鱗を見ることができます。





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