2014年3月22日

ことは 「国連軽視」ロシアだけだっけ?

ロシアのクリミア併合に関して、いわゆる国連、国際連合(正式には United Nation、連合国)を軽視したロシアはけしからん、という論調が目に付きます。

普段は「冷静」な東京新聞ですら、こんな状態。

東京新聞:ウクライナ危機 「侵略行為」は許されぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014032002000147.html
2014年3月4日
 主権国家への明白な侵略といえる。ウクライナの南部クリミア半島がロシア軍による事実上の占領状態に陥った。冷戦終結以来、ロシアがこれほど露骨な対外攻撃に出たのは初めてである。 奇妙な「占領作戦」だった。ロシア上院は、プーチン大統領の提案に応じ自国民の保護を理由に、ウクライナでの軍事行動を容認した。ところがロシアは、それ以前に電撃的な攻撃を展開していた。国籍不明の武装勢力に見せ掛け、空港や通信施設など、戦略拠点をまたたく間に制圧した。ウクライナ側の抵抗を封じるための先制攻撃といえる。

東京新聞:クリミア危機 「領土併合」は容認されぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014031802000154.html
2014年3月18日
 ウクライナの国家分裂が決定的となった。ロシア軍占領下で強行された南部クリミア半島の住民投票で、ロシア編入が圧倒的多数で承認された。国際社会は結束して「領土併合」を阻むべきだ。 全てはロシア側のシナリオ通りだった。住民投票は自警団を騙(かた)るロシア軍の武力を背景に人口の約六割を占めるロシア系住民主導で強行された。ウクライナ憲法に違反し、正当性はない。菅義偉官房長官や欧米首脳が住民投票は容認しないとしたのは当然だ。 前政権が崩壊した先月下旬の事実上の革命から一カ月も経ずしてクリミア半島は事実上、ロシアの保護下に入ったといえる。 一連の行動はロシアがソ連崩壊後の一九九四年、米英とともにウクライナの核を放棄する代わりに領土保全と主権を保障したブダペスト覚書にも違反する。ウクライナの主権を尊重しクリミアからの一刻も早い撤退を求める。 クリミアを編入すればロシアによる事実上の領土併合となり許されない。領土保全と国家主権を保障した、第二次世界大戦後の国際秩序の否定につながるからだ。
 オバマ米政権は、ロシア政府高官らの渡航禁止などの制裁措置を発動した。ロシア編入が決まれば、欧米は政府系エネルギー企業幹部の資産凍結など、プーチン大統領最側近にも厳しい制裁措置を実施するだろう。既に通貨ルーブルは下落し本格的な制裁はロシア経済には大打撃となる。

東京新聞:ロシアのクリミア編入 危機に立つ世界秩序:社説・コラム(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014032002000147.html
2014年3月20日
 武力を背景にした領土併合は許されない。ロシアによるウクライナ・クリミア自治共和国の併合は、冷戦後の世界が直面した最大の試練である。 電光石火の領土併合劇だった。プーチン大統領は、ウクライナでヤヌコビッチ政権が崩壊後、わずか一カ月足らずでクリミアのロシア連邦への「編入」を宣言した。大国が自国民保護を理由に独立国家の主権を侵害し、領土併合を進める。古典的な帝国主義の手法を想起させ冷戦後の世界秩序を揺るがす。国際社会は結束して対抗措置を講じるべきである。

社説で触れられている(下線部の)オバマ政権によるロシアへの制裁、これには(アメリカ)USでの国内世論は「制裁すべきではない」という声が大きいということは触れられていません。
ウクライナの「新政権」にネオナチ一派が入っていることへの危惧、というか、日本以外の先進国ではそれだけ(ネオナチ一派が政権内にいるってこと)で十分に「危ない状態」と感じる視点が、日本の報道には入っていないことにも注意すべきかと思います。

初期の社説ではこういう点にも注意すべきと書いてあるのに、その後の社説はどうしちゃったんだろうという状態。どうしちゃったんでしょ。

東京新聞:ウクライナ政変 国家分裂を懸念する:社説・コラム(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014022502000157.html
2014年2月25日
注意すべきはウクライナ民族主義を掲げる過激な極右民族派が台頭したことだ。クリミアや東部の一部地域が、五月にも予定される大統領選をボイコットした場合、国家分裂に向かう可能性も出てくる。極右民族派と親ロシア派住民が衝突する事態が起きれば、最悪の場合、ロシアの軍事介入を招く恐れすら否定できない。
遡った2/25の社説では「ウクライナ民族主義を掲げる過激な極右民族派が台頭」とあるけれど、実際は「ネオナチ」のようです。(三本指の旗を掲げている団体)

社説でこうなら、コラムはもっとすごい状態。

東京新聞:クリミア侵攻の意味:私説・論説室から(TOKYO Web)
www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014031202000120.html
2014年3月12日
国連憲章は武力による威嚇、または行使による主権と領土の侵害を禁じている。今回ほど露骨な主権侵害は旧ソ連によるアフガニスタン侵攻以来、ほとんど例がない。それなのに、なぜ国連は積極的に動かないのか

東京新聞:「侵攻コラム」の意味:私説・論説室から(TOKYO Web)
www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014031902000130.html
2014年3月19日
「クリミア侵攻の意味」と題して書いた私のコラム(三月十二日付)について、読者から多くのご意見をいただいた。
コラムの要点は次の三つだ。危機で国連が無力化した。中国に伝染する可能性がある。日本はアジアにおける集団防衛体制も視野に入れて集団的自衛権を容認すべきだ。

国連を無視した「侵攻」って旧ソ連時代のアフガニスタン侵攻以降、今回がはじめてみたいな書き方までされてしまって、どんだけ歴史認識の視野が狭いんだかと呆れる次第。

国連を無視したユーゴスラヴィア(コソボ紛争こんな感じだったわけですよ)、そして記憶に新しいところでは、アフガニスタンへの侵攻、『大量破壊兵器』を口実にイラクへの侵攻(イラク戦争)も国連決議のない「アメリカの暴走」だったことを忘れてはいませんか?

旧ソ連のアフガニスタン侵攻もほんとは当時のアフガニスタン政権から請われて旧ソ連が援助してというのが本当の姿なんだけど、当時のソ連軍が勝手にアフガニスタンに攻め込んでみたいな印象、記憶になってしまっています。
ヴェトナムで言えば、当時の南ヴェトナム政権から請われてアメリカが「軍事顧問」を派遣したようなもの。その後、トンキン湾での「自演」を経て軍隊そのものを派遣、泥沼化ののち、敗北、撤退。旧ソ連には「自演」が無いけど流れは同じなんですけどね。

アフガニスタンへの侵攻
http://ja.wikipedia.org/wiki/アフガニスタン紛争_(2001年-)
開戦の正当性に対する論議
アメリカはイギリス・フランス・カナダ・ドイツ等と共同でアフガニスタンに攻撃を行った。これは国際連合憲章に定められた国連軍ではなく、国連憲章第51条によって定められ、事前に国連決議を必要としない集団的自衛権の発動によるという論理であった。この論理は米州機構、EU、そして日本を含む同盟国と法学者に広く認められた。

国連無視とはけしからん!国連無視が続くようだと中国も暴走しかねない!と威勢のよい主張をする前に、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻以降、似たような事象がたくさんあるってことを知っておくべきだと思うんだけどもね。
(イラクがクウェートに侵攻したパパ・ブッシュの時の戦争もアメリカが黙認すると思ってたらあてが外れたという話もあるわけで)

加えて、ロシアとウクライナという地域の関係性、クリミア半島という場所の特殊性という背景をきちんと認識しないまま、社説や署名コラムを書くというのは底が浅いんじゃないですかねぇ。
日本に火の粉が掛からなければそれでいいやという気分なのか、最近の「右傾化」(極右化)のせいなのか。

関連
ことば「復興」と「復旧」、「国際連合」と「連合国」
http://tiiduka.blogspot.com/2013/05/blog-post_1379.html

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