2011年10月30日

Paul Simon - "One Trick Pony" & "Graceland" リズムの人だなと再認識

Amazonで注文したのは随分前なんですけど、ようやくポール・サイモンのCDが届きました。
リイシュー(再発)なんですけど、発売延期になったと思ったらまた延期ということで半分忘れてました。

今日届いた2枚のCDは、"One Trick Pony" (1980) と "Graceland" (1986)。

「ようやく」届いたCDですが、2004年にワーナー(ライノレーベル)からボーナストラック収録+リマスターで出たものと同様のようです。今回はLegacyからの発売なんで、ソニーになってます。




2004年にリイシューされたCDを買った人は今回見送っても大丈夫かなと思います。
それ以前のCDを持っている、またはアナログ盤でしか持ってない(もしくはCDもアナログ盤も持っていない)という方は購入してみては?と思いました。

"One Trick Pony" は図書館で借りて済ませていたし、"Graceland" はアナログ盤は持っているけどCDはやっぱり図書館で済ませていたもの。
2004年リマスターと同じじゃないのかというのは、1975年リリースの "Still Crazy After All These Years" の2004年ワーナー盤と2011年レガシー盤で同じだったから。(CDDBのデータまで同じ)

2004年当時だと「ラウドネス・ウォー」なリマスターを想像してしまいますけど、そこはライノが手掛けたリマスタリングなのでちゃんとしてます。

今日届いた2枚のCDをCDプレイヤー+ヘッドフォンという環境でじっくり聴いてみましたが、英語の歌詞がわかんない私からするとポール・サイモンってリズムの人だなということを再認識。

1986年リリースの "Graceland" はリアルタイムで買っていたので、当時のポール・サイモンに対する批判、論争もよくわかった上での購入。

批判や論争についてはWikipediaを。
http://ja.wikipedia.org/wiki/グレイスランド_(アルバム)
このアルバムはバンドグループレディスミス・ブラック・マンバーゾなど南アフリカ共和国のミュージシャンと協力して製作された。このことは当時アパルトヘイト政策を行っていた南アフリカ共和国に対する西側諸国の文化的ボイコットを妨害するものとして、サイモンに批判が集中することになった。

よく言えば、サイモン&ガーファンクルの1970年の作品、「コンドルは飛んで行く」で南米ペルーの音楽「フォルクローレ」を取りいれ、1972年にリリースされた "Paul Simon" 収録の "Mother and Child Reunion" という曲で「レゲエ」、「スカ」を取り入れて「レゲエ」や「スカ」というものを多くの人が知るきっかけを作ったと言えます。この点を評価する声が多かったのも実際のところ。
エリック・クラプトンが "I Shot The Sheriff" をカバーしたのは1974年)
レゲエを知るには、エリック・クラプトン、ポール・サイモン経由でという時代が長かったのが実際のところ。

そういう人なんだから、今作でも「アフリカの音楽」を取り入れて多くの人がその良さに気付くきっかけを作ったと言えます。(逆の見方をすれば「搾取」「おいしいとこ取り」なわけで批判もあるでしょう)

Wikipediaの解説に補足するのであれば、当時「グレイスランド」を批判した側の論点は以下の通り。
  • アルバムそのものの完成度が高くない。
  • ポール・サイモンの弱点である歌唱力に伴うもの。(だからアート・ガーファンクルと別れてからは色々な要素を取り込んで話題をつくり、歌唱力不足を補ってきた)
  • 多彩なゲストを集めておきながら、ゲストたちが魅力を発揮させると自分の影が薄くならないようゲストに力いっぱいのことをさせていない。
  • あちこちから知られざる実力者、異能の持ち主たちを集められるだけ集めておいて、自分がお山の大将になって得意がっているようにしか見えない。
(参考:中村とうよう著「地球が回る音」初出は中央公論1986年10月)

ポール・サイモンのボーカル、歌唱力については同感。
アート・ガーファンクルの歌唱力と比べて明らかに劣るのはサイモン&ガーファンクルが好きな方だったらわかってもらえるかと。

Wikipediaのポール・サイモンの「明日に架ける橋」のエピソードがそのことをよく表しているように思います。
「明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)」は当初ポール・サイモンがギターで作詞作曲したが、アルバムではガーファンクルの(ほぼ)独唱、そしてピアノのアレンジメントとなり、収録された。「コンサートでこの曲に贈られた拍手と賞賛はガーファンクルのものだ」と受け取ったサイモンは、その度に「これは僕がつくった曲なんです」と心で思ったという

「天使の歌声」と言われたアート・ガーファンクルと比較されてしまうんだから気の毒ではあるけど、コンプレックスを抱えた人なんだなということがよくわかるエピソードだと思います。
(ソング・ライターとしてのポール・サイモンは評価してます)


さて、今回のリマスターがどんな感じなのか波形で紹介。

One-Trick Pony の1曲目、"Late in the Evening"で比較。
上が1980年代の国内盤CD、下が今回のリマスター盤。
全体的にレベルは上がっているけども飽和無し。



Gracelandはアップテンポな "You Can Call Me Al" で比較。
同じく1980年代の国内盤CDと今回のリマスター盤。


こっちもレベルが上がっています。(One-Trick Ponyに比べ、飽和気味かなと思いますが)


関連
The Loudness War と Flat Transfer(リマスタリングCDについて思うこと)


  

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